歌い継がれる名曲
本日2016年2月20日は、
世界的作曲家「武満 徹」氏の20年目の命日です。
武満氏は御代田町に山荘を構え、そこで多くの作曲活動をおこなっていたそうです。
癌を患い、最期は膠原病に起因した急性肺水腫で1996年2月20日65歳という若さで亡くなりました。
武満氏は、国際音楽賞を数々受賞するほどの日本を代表する作曲家です。
彼の作品の中に、MI・YO・TAという楽曲があることを御存知でしょうか。
その曲は武満氏が、作曲家「黛 敏郎」氏のアシスタントをつとめていた時の作品で、悲恋のメロドラマのワンシーンで使用するためのBGMとして書き上げたそうです。
武満氏の生前にこの楽曲が世に出ることはありませんでしたが、彼の葬儀の折、黛氏がその曲について
「余りに素晴らしいので映画に使うのが勿体なくて、ひそかに私が使わずにとっておいたものです。私はあらゆる音楽を通じてこれほど哀しい曲を知りません。いうならば哀しみの表現の極致といえるでしょう。」
と弔辞で語り、二人しか知らないこのメロディを何度も口ずさみ霊前に捧げました。
そしてのちに、この9小節からなる旋律に谷川俊太郎氏が詞をつけ「MI・YO・TA」を誕生させます。
「MI・YO・TA」は武満氏が20代で作曲をした大人の憂いを感じさせる作品ですが、今、御代田町内で少年少女合唱団が歌い継いでいます。団名は「つばさ」。武満氏の作品「翼」からとった名前です。哀しげでメロディアスなMI・YO・TAの旋律と、子どもたちの澄んだ歌声。歌詞冒頭にある「木もれ陽のきらめき」が、その透明感のままに伝わってきます。
もしかしたら、そのまま人目にふれることなかったかもしれないこの作品に出会えたこと。
そして、この静かな御代田の森で数々の名曲が生まれた事実を誇りに思い、これからも武満氏の作品を愛しみたいと思います。
「武満徹 御代田の森のなかで 」
発行:浅間縄文ミュージアム